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晴美台タイガース戦積
2006年度(旧Aチーム) (年度計最終成績 14勝20敗) | |||||
日付 | 大 会 名 | 対 戦 相 手 | スコア | 勝 敗 | 戦 況 |
12.23 | 堺市長杯二回戦 | 北岡ビクトリー | 9−1 | ○ | 五回コールド勝ち |
.24 | 堺市長杯三回戦 | 幸ジュニアファイターズ | 4−3 | ○ | 接戦をものにした! |
新1.8 | 堺市長杯四回戦 | 向陽ドリームズ | 0−1 | ● | 残念!惜敗! |
1.22 | 美原大会二回戦 | 住之江ウルフ | 1−2 | ● | またしても惜敗! |
1.29 | 卒業記念大会1戦目 | 宮山台サンダース | 5−0 | ○ | 完全試合達成! |
2.5 | 卒業記念大会2戦目 | 槙塚台ロイヤルズ | 8−0 | ○ | コールド勝ち! |
2.11 | 卒業記念大会3戦目 | 新檜尾少年野球部 | 13−1 | ○ | コールド勝ち! |
2.12 | 卒業記念大会準決勝 | 庭代台ビクトリー | 1−3 | ● | 残念!惜敗! |
2006年度(新Aチーム) | |||||
貝塚市長杯1回戦 | 住之江パンサーズ | ||||
2006年度(Bチーム) (昨年通算成績 8勝3敗) | |||||
2006年度(Cチーム) (昨年通算成績 2勝5敗) | |||||
2006年度(Dチーム) (昨年通算成績 4勝2敗) | |||||
晴美台タイガース激戦アルバム
1.29 卒業記念大会初戦 対 宮山台サンダース戦 あれよあれよで完全試合達成! | |||
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さあ、六年生部員最後の試合「卒業記念大会」が始まったぞ!悔いのない試合、思い出に残る試合、野球を思い切り楽しむ試合、もうタイガースで野球ができるのもあと少し、今までの練習の成果をめいっぱい発揮しなきゃ! 六年生たち! | ![]() |
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六年生にとっては、年明けからの試合はタイガースでの野球の総仕上げとも言えるものであった。キャプテンの浜畑君、エースの蓑尾君、主砲の村上君、日ごろまじめにそして熱心に練習に励む彼らは、小学生最上学年にふさわしい実力の持ち主である。しかしここ二試合運にもめぐまれず、打線の沈黙もあって勝ちに恵まれなかった。ただ、負けたと言えど二試合ともしっかりとした素晴らしい試合ではあったが。 気を取り直し、ナイン一丸で向かった泉北グランド、この日は雲ひとつない快晴で、朝からかなり暖かかった。対戦相手の宮山台サンダースは、今期一度も対戦していない相手、投手についても打線についても余り情報はなかった。しかし、いつもの練習のような野球をやれば必ず勝てるタイガース、落ち着いてしかし勝利への闘志をうちに秘めたナインは後攻を選択、ベンチ前で声を張り上げ、主審の合図とともに一目散に試合前の挨拶に向かった。 実は、私は今日はあまり試合を見ないでおこうと考えていた。前の二戦で思ったことは、私をはじめギャラリーが六年生に勝って欲しいあまり、かなりのプレッシャーをナインにかけているのではないか? と思ったからである。「最後の試合だから、有終の美」と考えるのは親心ではある。だから、ここ二試合「勝て、勝て」と言いすぎたのではないかと思っていた。なぜなら、ここ二試合タイガースらしい「思い切りの良さ」や「試合を楽しむ笑顔」に欠けていたと思うからだ。だから、私は応援もほどほどにあっち向いてる振りをして、心の中だけで「勝ち負けより、思いっきりやって、みんなで野球を楽しんでくれたら、ゆうじくんやとおるちゃんやまさきくんが、楽しい野球をやってくれたら!」そう思っていた。 試合は実にたんたんとしたものであった。蓑尾君のコントロールは今日も抜群で、ボールの走りはさすがに六年生の迫力あるものであった。試合前、蓑尾君のピッチングを見ていた審判さんの一人が、「六年生ともなるとさすがに速い球を投げるね。」と話しているのを耳にしたが、私自身最近の蓑尾君の球の走りと伸びには感心していた。うーん、六年生になると違うもんですわ! と言う訳で、(私、あっち向いて試合見てましたから、詳しいことは抜きにして)試合はとにかく初回からずっと、蓑尾君のナイスピッチング、内野外野のナイスフィールディングの連続で、しめっていた打線も七安打、六年生の三人もきっちりと打ち、エラーがらみの得点も入れて五点をとりました。そして終わってみれば、完全試合。ノーヒット、ノーラン、ノーエラー、無四球でたったのひとりも塁を踏ませず、おそらく子供たちもこれから野球をずっと続けても完全試合はこれが最初で最後でしょう。(そんなめずらしいこと、大記録を達成したのですが、子供たちは誰もそのことを気にかけていませんでした。次の試合、槙塚台ロイヤルズ戦のことのほうがよほど気になるようで、午後からも小川コーチにみんなしこたましごかれていました。) 応援に来た母たちも、喜んはしゃいでいましたが、ただただ試合に勝ったことを喜んでいたようで、「完全試合は大記録だ!!!」「とんでもなことやりよった!」「こりゃ、タイガースの歴史に残るで!」と思っていたのは、私だけのようです。(ひでき君、ほんまやったらこの記録達成でさぶちゃん連れて行ってもらえるとこやったんやけどなぁ、おしいことしたなぁ。) |
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2.5 卒業記念大会2戦目 対 槙塚台ロイヤルズ戦 優勝候補にコールド勝ち! | |||
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前評判の高い長身の速球投手を擁する槙塚台ロイヤルズ、その対策として、タイガースはOB(水波彰太先輩、友田新太郎先輩、兼清 翔先輩ら)の胸を借りて速球打ちの練習を繰り返してきた。今日の試合はまさにその練習が功を奏したというべき試合であった。 初回の立ち上がり、今日もエースの蓑尾君の投球は絶妙のコントロールと伸びのある速球で相手打者に付け入る隙を与えなかった。ナインの守備も万全、タイガースはあぶなげなく先攻のロイヤルズを三者凡退に打ち取った。 その裏いよいよ泉北地区屈指の速球投手、ロイヤルズのエースがマウンドに立った。でかい、確かに小学生ばなれした立派な体格である。そして完成されたフォーム、投げ込むストレート(それしか投げませんけど)は確かに早い、そして球威もありそうだ。しかし、先輩の胸を借りて彼よりももっと速い球、もっと重い球を打ち込んできたタイガース、先頭の浜畑君をはじめ、山上君、宮村君、他全員、速球を目の前にしても動じる様子はみじんもなかった。 速球投手特有の高めのほんのわずかに外れるボール球(普通なら思わずスイングして、空振りか凡打に終わる球)をタイガースナインが手を出すことはなかった。速球に対する選球眼は実にしっかりとしていて、結果を先に言うと、この試合わずか2三振しかしなかった。これは、おそらく速球を武器に三振の山を築いてきたであろうロイヤルズのエースにとって思わぬ誤算だったであろう。なんせ、速球であればあるほど低目への制球は難しくなる。高めに浮くのは仕方がないが、それを釣りだまとして三振か凡打に打ち取るのが速球投手のやり口であるからだ。 タイガースナインは、そのくせ球には手を出さなかった。そのかいあって終わって見れば、相手投手から11個の四球を選び、加えて4安打、そして随所に見せた送りバントとスクイズにより毎回得点を重ね、結果5回8−0のコールドゲームで勝ちを納めた。 前回の完全試合といい今回の試合でも守備の完璧さは120点のデキ、加えて落ちついた選球と好球必打のバッティング、今のタイガースは絶好調だ! |
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2.11 卒業記念大会3戦目 対 新檜尾台少年野球部戦 コールド勝ち! | |||
タイガースは卒業記念大会のブロック戦において二勝し、この試合に勝てば決勝ラウンドに進める大事な試合であった。初回先頭の浜畑君の当たりはレフトオーバー、この攻撃を皮切りにタイガースは打者一巡、1回の表、六点をもぎとった。その後の二回も毎回得点、終わってみれば13−1、わずか三回のコールドゲームでの圧勝であった。 しかしこの試合、私はぜんぜん良いゲームだとは思っていなかった。確かに5、6年生は全員安打、キャプテンの浜畑君にいたっては3打数3安打、特大のホームランまでかっとばした。しかし、得点の多くは相手チームのまだまだの守備に助けられたものであったし、何より私には選手ひとりひとりのボールに対する執念が全く感じられなかった。 初回の猛攻で六点を先取したのではあるが、このときもう選手の誰もがこの試合に楽勝ムードを感じたのではないだろうか? その結果守備が雑になり、相手に不用意な得点を与えたわけでもないのだが、私の目にはいつものタイガースの選手らしい一球一球を丁寧・大切に扱い、チーム一丸となって野球をしているようには思えなかったのである。先週の槙塚台ロイヤルズ戦、あの負けられない一戦で、守備についた選手たち一人一人の間には勝ちたい気持ちの覇気のオーラがリボンとなって結ばれていた。誰もが、誰の元へと飛んだ打球もしっかりと見つめ自分のなすべきことを即座にこなしていた。そして誰のどんなプレーに対してもおしまぬ激励と賞賛の声を掛け合っていた。まさに九人の輪が一つに重なって大きな輪を作り上げていたのである。また攻撃では少ないチャンスをものにするため、誰もが一つのバント一つのスクイズを成功させるべくどれほど集中していたであろうか? 一振り一打にどれほどの気持ちをこめていたであろうか? 選手たち自身、あの試合では強豪相手に「終わってみればコールド勝ち」していたというだけで、試合のさなかはただただ一球にそして野球に集中していたのではないだろうか? そのような見事な試合をタイガースは昨年末(幸ジュニアファイターズ戦あたり)からずっとしていたのである。だから、勝ったとはいえこの試合は、いただけない。そして次に控えた試合が庭代台ビクトリーとの決勝進出を掛けた大一番であっただけに、私は胸騒ぎを覚えていたのであった。「この一戦の圧勝が選手たちの緊張の糸を切り、百十の王ライオンにいつまでも挑み続ける挑戦者としてのトラの意気込みをくだかねば良いがと。」 勝っても敗けても、慢心とおごりほど戦士を弱くするものはない。いつもいつも挑戦者としてのタイガースであり続けることは、もっとも人を強くするであろう。 |
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2.12 卒業記念大会準決勝 対 庭代台ビクトリー戦 六年生の浜畑君、村上君、蓑尾君 タイガースでの最終戦 お疲れ様でした! そして、このチームでの奮闘と努力、どうもありがとう! 心からありがとう! |
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試合に向かう選手たちの様子に気負いなどないように見えた。車内はいつものように雑談が飛び交っていたし、選手たちの笑顔もいつものままであった。しかし、そんな会話の中、私は確かに聞いた。「今日はオレ、絶対勝ちたいねん。」なんとキャプテンの浜畑君がそういったのである。普段は、実に淡々と試合に挑み闘志を表に見せることのないキャプテンが、長年の親友である村上君にそういったのである。そして村上君は今まで聴いたことのないキャプテンの言葉に不意をつかれたのか、一瞬真顔になり、「僕も勝ちたい、今日絶対勝ちたい。」と言葉を返した。 運転席の私にさえこの会話が聞こえたのだから、まわりの五年生ら選手にも聞こえたと思う。そして、この言葉が実は今日の試合の勝敗を決した。 子供たちには、多分対戦相手の強さについて直感が働くのかもしれない。審判の合図とともにホームベース上に駆け寄るとき、そして試合前の挨拶をするとき、相手がどれぐらいやるのかどうかは、彼らにはわかるのかも知れないのだ。挨拶のとき、タイガースの選手はもはや相手に飲まれていた。私たちには理解できないが、子供たちの直感が相手の強さを推し量らせるのであろう。そして、彼らは相手が強豪であると判断したようだった。そのせいか試合開始とともに先頭打席に入るキャプテンへのエールもどこか弱弱しいものであった。 今までの試合もそうだが、タイガースのナインはこの浜畑君の初打席に期待を寄せ、彼がこの打席で快音を響かせるとき、選手たちは一瞬にして奮い立つ。チーム一の実力者は、相手ピッチャーの実力を測るナインのものさしでもあるのだ。浜畑君に打てなければ、誰も打てない、と弱気になるし、浜畑君がかっ飛ばせば、僕だって!・・・となるのである。そんなことを知ってか知らでか、とにかく浜畑君はいつもいつも初打席の重責を背負っている。私は、あの車の中での会話を耳にしていたので、先頭打席に入る浜畑君の胸中は察するにあまりあるものがあった。「勝ちたい」といつもは見せない闘志を見せていたのだから、肩に力が入るのは仕方がない。「おいおい気負うな、気楽に行け!」そう心の中で叫んでいた私だったが、結果はサードゴロ、肩に力が入り過ぎたがちがちのスイングでは、快音を響かせることはできなかった。 キャプテン、たかが小学生のスポーツチームにおいても、この言葉は決して軽くはない。サッカー、野球やソフトボール、バレーやバスケット、ポートボールやチアリーディング、子供たちが熱心に取り組む全ての団体競技にキャプテンは存在し、小学生といえどチームを引っ張る存在としてその重責を果たさなければならない。(昔、キャプテンという野球漫画があった。今でも名作として胸に残っている。)そんなキャプテンだが、タイガース歴代のキャプテンはいつどんなときでも大きな声を出して仲間を応援するよう教育されてきた。しかし、浜畑君が試合で大きな声を張り上げチームを盛り立てているところなど、見たことがない。見た目からすれば、彼は決してチームを引っ張るようなタイプのキャプテンではなかった。だから、今までのタイガースのキャプテンとは全く違うタイプのキャプテンである。 声を限りに仲間を盛り立てチームを引っ張る、それも確かにキャプテンの仕事ではあろう。しかし、重責を担いゲームの中で自分の仕事をしっかりとする、実力を発揮し得点をあげ、まさに正攻法でチームの勝利に貢献する、そんなキャプテンが浜畑君であったと思う。彼は守備においても打撃においても確かにチーム一の実力を有し、それを試合でいかんなく発揮していた。ナインもそれを見守る大人たちも誰もが彼に過ぎたる期待を寄せ、そして彼はその期待に答えてきたのである。練習にしても、彼ほど、一球一球を大切にして熱心に取り組んでいた選手はいない。無駄口もたたかず、子供にありがちな気分の動揺もなく、弱音を吐かず、ただただ淡々と野球をする子、それが浜畑キャプテンであった。誰もが認めなくてはいけない最大の彼の貢献は、彼を見て他の子供たちの野球が大いに上達したことにある。私は、監督やコーチより、実に彼の野球を見て子供たちは多くを学んだと思うのである。捕球の際のフィールディング、バッティングの際のスイング、走塁の際のタイミングとスライディング、彼は全選手の見事なお手本であった。 浜畑キャプテン、ありがとう。タイガースでのキャプテンとしての責任、ごくろうさま。心から君に感謝とエールを送ります。 一回の裏、タイガースの守備、いつもなら必ず初級ストライクから入るエースの蓑尾君。しかし、高めに辛い審判の判断によってツーボール、立ち上がりの制球に不安が残った。 蓑尾君と言えば、去年の夏、浜畑君と村上君が試合に来れないことがあって、六年生一人で試合に臨んだ日のことを思い出す。大雨の中マウンドに立った彼であったが、なかなかストライクが入らず、またせっかく凡打に打ち取っても仲間のエラーでアウトにならず、大量得点を取られチームは惨敗し、最後には泣き出してしまった。彼の持つ雰囲気のせいか、普段あまり子供っぽいとは思わなかったから、彼が大声を上げてわんわん泣き出すその様子にあっけに取られ、またどう声を掛けてよいものかもわからず、私をはじめ周りの大人はけっこう動揺してしまったのである。多分試合に来れない仲間の分まで頑張ろうという彼の責任感が、結果として制球を悪くしてしまい、責任を果たせなかった自分に対するふがいなさが彼を号泣させたのであろう。 それからというもの、蓑尾君には苦難の日々が続いた。練習でも試合でも、投げても投げてもストライクが入らない日々が続いたのである。球は高めに浮いて、以前ほどボールも走らなくなった。ついついチェンジアップを連投するが、速球の合間のそれは効果的であっても、切れのない速球しか投げれない今は効果がない。監督もコーチもそんな蓑尾君を諦め、試合では浜畑君の登板回数が多くなっていった。蓑尾君はサードも立派に守れる内野手でもあるが、なんと言っても晴美のエースなのだ。だから、そのときの彼の悔しさを思うと、こっちまで胸が痛くなる。 彼がエースに復帰したのは、そしてそのときには見違えるような切れのある速球を身に付け、緩急自在のピッチングで、凡打の山を築くようになっていたのは、去年の暮れの好試合、幸ジュニアファイターズ戦からだと思う。晴美のエース復活に私をはじめ監督コーチ、ナインみんなが喜んだ。確かに球の速さは以前のそれとは比べ物にならない。投球フォームに大きな変化があるわけではないのに、以前に比べずいぶんと速い球を投げ出した。そして持ち前のコントロールにも以前以上に磨きがかかっていた。試合開始の第一投目、彼は何の苦もなく速球をストライクゾーンに投げ込むことができた。四球を出すこともなく、そして低めにコントロールされた球筋では、長打を浴びることも連打されることもなかった。守備の堅さに後押しされ、彼はこのエース復活の試合で、七回を投げ勝ち投手となった。 昨日、蓑尾君から聞いた話によると、スランプを乗り切るためにピッチングの本を読んだと言っていた。彼もまた自分の欠点を自分で見つけそれを克服するのに必死だったんだと思う。大人から見れば気分屋の子供達の責任感など、その場限りで継続性などないように見える。確かにそうで、その場の反省や後悔などにしても、次の瞬間どこかへ消えてなくなっているように思われる。しかし、そうではあっても、その場その場で子供たちは誰でもチームの仲間たちの期待や親の期待に必死に答えようとしているのだと思う。だから三振してもエラーしてもそれをみんなが悔しがるが、それは多分チームの期待、仲間の期待に答えられなかった責任感の表れではないか、そう思うのである。野球はチームスポーツであり、チームで練習しチームで試合に臨む。子供ながら仲間の期待に答えられない自分ほどみじめなものはない、だから時に号泣する、それは責任感の裏返しとも言えるのだ。 蓑尾君は六年生の、そして晴美のエースとして、その責任感を見事に果たした。幸ジュニアファイターズ戦以降の彼は、堂々たる晴美のエースであり、一度も崩れることなく、三振と凡打の山を築いた。そして2006年1月29日、対宮山台サンダースにおいては(おそらく)晴美台タイガース史上初の完全試合を成し遂げた。7回を無四球(ノーフォアボール)、無死球(ノーデッドボール)で投げきったのだ。打者にねばられ幾度となくあったフルカウントの緊張感の中でも、彼は冷静さを失わず、あわてず落ち着いてストライクゾーンに球を集めた。甘いところには決して投げなかったから、打たれた球のほとんどが内野へのゴロであった。 晴美台タイガースのエース蓑尾君、エースの重責ごくろうさまでした。完全試合達成おめでとう! 心から君に感謝とエールを送ります。 試合は一回の裏、クリーンヒットと好走塁で、タイガースはあれよあれよと言う間に二点を先取された。浮き足立っていったタイガースの足元をすくい、初回に先制パンチを食らわしてきた。庭代台ビクトリーは今年度、泉北地区でもっとも実力のあったチームだから甘さはない。選手一人一人これといって際立っているわけではないが、みんなよく訓練されている。選手の一人ひとりが野球をよく知っているし、自分がなすべきことも良く心得ている。プレーに卒がないまさに試合巧者というべきチームであった。これ以上の失点は許されない。だが二回の表タイガースはまたも無得点に終わったが、その裏ビクトリーには一点を追加されてしまった。 三回からのタイガースの守備に関しては、いつものタイガースらしい120点のプレーの連続であった。ランナーを背負っても、あせらず冷静に投げ続けた蓑尾君を、内外野の堅い守備が応援した。特に村上君がこれ以上はないという好送球で一塁ランナーの二盗塁を阻止したときには、ギャラリーから一斉に歓声が沸き起こった。
村上君と言えば、タイガース不動の四番打者であり、チームの要の名キャッチャーである。またコーチ陣のきつい叱責と揶揄にも笑顔で耐え続けた、強い心臓の持ち主でもあった。とにかく、彼ほどコーチに可愛がられた?選手はいない。そして、彼ほど、素朴に野球が好きな選手もおらず、キャッチャーとしてチームを立派に引っ張った選手もいないのである。 しかし、確かに彼は当たればでかい強打者ではあるが、試合では滅多に当たらない。そしてキャッチャーとしては強肩でもないので、盗塁も余り阻止できない。前回このビクトリーと対戦したときには、出塁されれば走り放題走られていたものだ。 それでも彼はチームの要(かなめ)である。練習のとき、コーチのノックのキャッチャーとして、彼はボールを受け続けた。チームの中で彼が一番ボールを受け、ボールを投げたのだ。そして、彼が一番コーチに怒られた。コーチの近くにいたのだから、彼らのうっぷんをまともに受けた。それゆえコーチの誰もが彼をもっとも可愛がった。そして選手の誰もが彼がキャッチャーでいてくれることの安心感を持っていた。温和で決して怒らず、誰にでも愛想よくしてくれる村上君、彼の性格はまさにキャッチャーに必要なものなのである。 また、試合では彼のかっとばす豪快なファールは相手をびびらせるのに十分だ。彼の一打で晴美の誰もが強打の持ち主であるという、はったりをかましてくれる。そして彼が出塁すれば以外な足の速さで相手バッテリーをかき回す。守備の最中大きな声でナインに指示を出し、大きな体でホームを守り続けた。もちろん、蓑尾、浜畑両投手の女房役として、彼らが絶対の信頼を村上君においていたのは言うまでもない。 そんな彼について誰もが疑わないのは、彼が将来とてつもない強打者、強肩の捕手になることだ。当たればでかい、そのスイングは強打者の片鱗をのぞかせる。あるときなど、高校生の先輩の速球をものの見事な特大のアーチを描いて打ち返していた。後で先輩に聞いたら、「あれは完全に打たれた。」と本人も舌を巻いていたほどだ。また、今日の試合でも見せた見事な二盗阻止は、全観客の喝采を誘った。彼はその風貌どおり「大器晩成」型の選手である。だから、その本領発揮はこれからなのだ。 晴美台タイガースの名キャッチャ^村上君、チームのかなめとしてのたくさんの仕事、本当にごくろうさまでした。 心から君に感謝とエールを送ります。 というわけで、庭代台ビクトリーとの一戦は、後半都倉君の出会いがしらの一発(わがままな秀樹はおだてすぎると頭に乗るので、あえて出会いがしらの一発としました。)で、一点を返したものの結果は1−3で負けてしまいました。試合後、本当に勝ちたかったキャプテン浜畑君、村上君、蓑尾君ら六年生トリオ、そして彼らにほんとうに勝たせてあげたかったであろう下級生たち、みんな泣いていましたが、野球そのものの実力では全くの互角であったので、晴美の選手たちがほんとうに勝ちたかった分だけ、肩に力が入っていたと言うべきでしょう。 私はこの試合、何も言うことはありません。みんなよく頑張ったし、緊張感も集中力もありました。一球一球を大切にしていたし、ほんとうにいい試合でした。グッドゲーム!でした。六年生最後の公式戦は、とても立派な素晴らしい試合でした。晴美台タイガースの選手諸君、ほんとにありがとう。 |